696キキキキ

696クロウサが綴る 696の世界

第 42 Self hate

自滅を扇動する首謀者達の多くは、善良な見かけを作るために全ての感情をひた隠しにし過ぎて, 我を失くした人々 己の存在を希薄にしてしまった者達。

故に、あらゆる他人の行動言動に対して超過敏に反応してしまう人達。

 

誰よりも努力しようとし、己よりも他人を思い遣り、常に働き、警戒を解かず、無意識に怯えて生きてきた 繊細な人達… であるのに、その敏感なアンテナでキャッチした情報を自分自身の満足には活かせない。

 

受け身 というよりは、全てのモノの風下に陣取り、その匂いを嗅ぎ、「臭い臭い」と批評をする事で、望む様な成果を出せない自己の浄化を終わらせる。

依存性の高い魔薬だ。魔薬なんて言葉はないけれど。

 

 

 

彼らはこう語る。

「努力がいつも報われるものではない事は百も承知。」

「他人と信じ合えない虚しさは理解している。」

「例えエゴでも、誰かの役に立つために労を惜しまなかった。それが合理的だから。」

「出し抜けな裏切りの痛みと、不本意な失敗や誤解による罪科からの残念極まる分け隔てを味わいつくしたが、現実の理不尽さに負けない様に 心構えを守った。」

「しかし、

どんなに尽くそうとも味方は現れなかった。完全な仲間 なんてものは、この世界には居ない。」

 

 

いつも他人の顔色を窺っていた。

「馬鹿にされるのは御免だ。」

SNSでも、旅先でも、独りの妄想の中でも 無意識に…。

そんな風に生きてきて、歪みを生じ始めた。

 

他人へのシニカルな反応が、不満な己を腐らせてゆくことに気付き始めた。

 

成功アピール 達成アピール 成就アピール 開花アピール

幸運アピール 福運アピール 棚ぼたアピール 僥倖アピール

幸福アピール 御機嫌アピール 満足アピール 感謝アピール

努力アピール 挑戦アピール 勤勉アピール 直向きアピール

覚悟アピール 決断アピール 先見アピール 冒険アピール

センスアピール 感覚アピール 能力アピール 資質アピール

人気アピール 名声アピール 人望アピール 評判アピール

不運アピール 不幸アピール 数奇アピール 負け組アピール

貧乏アピール 苦節アピール 殊勝アピール 健気アピール

孤独アピール 単独アピール 寒がりアピール 独立アピール

権力アピール 腕力アピール 重鎮アピール 影響力アピール

軟弱アピール 臆病アピール 柔和アピール 温和アピール

不良アピール 反抗アピール ヲタクアピール ギークアピール 

ルールアピール セオリーアピール 法則アピール 基準アピール

誠実アピール 正直アピール 率直アピール 律義アピール

奔放アピール 明朗アピール 寛大アピール 楽天アピール

美貌アピール 美食アピール セレブアピール 家柄アピール

学歴アピール 職歴アピール コネアピール 非凡アピール

健康アピール 病弱アピール 骨太アピール 繊細アピール

ペーソスアピール エートスアピール ロゴスアピール アピールストテレス を、

そして、 言う迄も無く、アピールの無い 誰もかれも をも、

憎んだ。

 

他人を憎んで 己を憎んだ。 無意識に…。

 

無意識であれば、悪意でない。とでも決めつけるかの様に、意識と行動を分けた。

 

そうして、全てを憎んで 憎む心も憎んで それを隠して 善良な殺人鬼になった。

生じた歪みが、大きくなって、遂に 瓦解し 決壊し 恨みの濁流が溢れ出したのだ。

悩める友人を優しく自殺に導き、幸せな己を ” 美しき殉教者 ” に駆り立てた。

 

 

 

「人間は 気持ち悪い生き物だ」

「自然との調和を無視し増長した種に成りつつある」

「人類を美しい存在たらしめるには 美しく身を捧げる受難者達が必要である」

「役立たずな我々も 滅びる事で神仏の如き働きが叶う」

「命も歴史も地球上のものは 所詮、やがていつかは鉄の塊に収斂されて消滅してしまう。 ならば 今、自分の決断で 美しくその時を迎えよう」

 

 

彼らは 確かに酔っていた。

酒や薬に溺れる連中と変わりなく、酔う事で勇ましい気持ちになり、挑む様に、カタルシスからも逃避しようとしているのだ。

美しき己の覚悟と、妄想の果てにある献身的犠牲へのご褒美という、昔から、真面目な卑怯者達が作ってきた美酒に。

 

それは、恐ろしいカルトの誘い文句の様でもあるが、

実は、

その様な 自決への偏執や 自賛のアピールは、人間なら 誰もが日常的にやっている事だった。

 

誰も、とは 全人類という意味だ。

 

 

 

 

ワワラという女性が居る。

ホラエという男性が居る。

共に、命を司る という意味の 神話による名を持つ者。

お互いには、全く繋がりは無いが、二人とも、それぞれに別々の自滅の会を首謀する者。

 

 

元々、教えを説く様な振る舞いをする気は毛頭無かったワワラ。

気付けば、大勢に祀り上げられ しかし、人々の悩みを放ってはおけず、毎日 日々真剣にアクセスして来る人の苦しみに耳を傾け、己の本心を語っていた。

己の信ずる、「美しい死」の素晴らしさを伝えていたのだ。

 

ホラエの周りにも人が集まった。

彼の正直でシンプルな哲学と ” 分かりやすい言動 ” は、大衆にウケた。

「家族を捨てろ 学校を辞めろ 社会を信じるな システムを壊せ」…。

彼は、次第に、自分を囲む連中を(英雄的自滅)という思想への生贄に出来る快感に溺れていった。

さながら、多くの革命家や自由の戦士だった者が、傲り昂り、お決まりな結果通り、権力者として正義を揮う様に、巷で苦しむ者達を蔑み始めた。

そうしなければならない、からだ。

そうでもしなければ、自分が蔑まれる側に戻ってしまう…と思い込んでいるからだ。

自己嫌悪の無限ループ。

他を非難するものは、決して自己嫌悪からは逃れられない。

「誰よりも、偉大に自滅してやる」そんな歪んで真っ直ぐな虚栄心に身を委ねていた。 

 

 

ワワラは、自分なりの「美しい自滅」を極めようと考えていた。

考える為に、あらゆる情報をまさぐった。

海や山や谷に行った。独りで。

街の人々にも向き合った。独りで。

そうして、自分の中の 自分の存在に 行き当たっていた。

「誇らしく、潔く… 惜しまれて…」 

 

 

ホラエは、漲るチカラを感じていた。

そろそろ、本当に かめはめ波も撃てるんじゃないのか などと思い始めていた。

「オレは偉大なチカラを付けている。オレに憧れて、勇敢に死んでいった者たちが大勢いた。なのに、半端なバカ共はオレの提唱する美学よりも、家族や友人の甘やかしを受け入れた…。奴らは完全に愚かだ。醜い裏切り者達には、その愚かさへの罰を与えてやろう」と、苛立ちをも興奮に変えて、漲っていた。

 

 

ワワラは、バーチャルリアリティーに理想の居を構えた。

誰にも邪魔されずに、誰とでも繋がれる『現実』の世界に 彼女の会 を創った。

 

 

ホラエは、同じ志で、別の大きな会を率いる著名な有力者 通称 ” マクロ死(氏)” に協力を求め、ホラエの会を抜けた者達や自滅を批判する連中に対する呪いを、全世界へばら撒く事にした。

自身の運営するネットチャンネルで企画した「死ぬ事も出来ないゴミが、如何に地球の害になるのか」という討論番組にマクロ死の出演を打診して、快諾された。

 

マクロ死は、超自滅の会の中でも 極めて過激な強硬的活動家だった。

 

マクロな死をもたらす者、

その正体は…

 

 

 

 

 

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